本能が目覚める時、なぜ私たちは自分をコントロールできなくなるのか

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⬜︎目次⬜︎

  1. 1章 本能とは何かー太古から受け継がれた生存のプログラム
  2. 2章 脳の三層構造
  3. 3章 本能が暴走するメカニズム
  4. 4章 現代人を苦しめる本能の誤作動
  5. 5章 自己制御を取り戻すために
  6. 6章 本能と共に生きる

「やめようと思っているのに、やめられない」

「冷静になろうと思っているのに、感情が溢れてしまう」

こんな経験はありませんか?

これは、あなたの意思が弱いからではありません。人間に備わった「本能」が働いている時、私たちの自己制御は驚くほど難しくなるのです。今回は、その仕組みについて紐解きながら、自分らしく生きるためのヒントを探っていきましょう。

1章 本能とは何かー太古から受け継がれた生存のプログラム

本能とは、太古から受け継がれてきた、生き延びるための自動的な反応システムです。危険を感じたら逃げる、空腹を感じたら食べ物を探す、仲間外れにされそうになったら不安になる。これらは全て、何千年も前から人間の生存を支えてきた機能でした。

問題は、現代社会がその本能が作られた時代とは全く違う環境になってしまったことです。猛獣に襲われる心配はなくなりましたが、脳は「危険」を感じると、同じように反応します。上司に怒られたとき、誰かに批判されたとき、私たちの体は命の危険にさらされているのと同じような状態になります。

2章 脳の三層構造

人間の脳は、大きく分けて三つの層で構成されています。

一番内側にあるのが、「爬虫類脳」と呼ばれる原始的な部分です。ここは、生命維持と本能的な反応を司ります。呼吸や心拍、危険を察知した時の反応はここから生じます。

その外側にあるのが、「大脳辺縁系(哺乳類脳)」で、感情や記憶を担当しています。喜び、悲しみ、怒り、怖れという感情が生まれる場所であり、過去の体験を記憶する場所でもあります。

そして、一番外側にあるのが、「大脳新皮質(人間脳)」です。ここは、理性的な思考、計画、自己制御を可能にする部分です。「今はこうしたほうがいい」「この誘惑に負けないようにする」と判断するのはこの部分の役割です。

重要なのは、本能が働く時、脳の指揮権が内側の原始的な部分に移ってしまうことです。

3章 本能が暴走するメカニズム

本能が働き始めると、脳内では劇的な変化が起こります。

まず、ストレスの元になるコルチゾールやアドレナリンが分泌されます。これによって、心拍数が上がり、筋肉が緊張し、体は「戦うか逃げるか」のモードに入ります。この時、エネルギーは生存に直結する機能に集中するため、理性的な思考を司る前頭前野の働きが抑制されます。

本能が強く働いている時は、「考えられない」状態になっています。冷静な判断力、長期的な視点、他者への共感という高度な機能がオフになり、目の前の危機(危機だと脳が認識したもの)への対処だけに集中します。

だから、後になって「なぜあんなことを言ったんだろう」「なぜあんな行動をしたんだろう」と後悔するのです。それは、本能モードが解除されて、人間脳が働き始めてわかるのです。

4章 現代人を苦しめる本能の誤作動

現代社会では、本能が誤作動を起こしやすい状況がたくさんあります。

「集団から認められたい」という社会的本能が刺激されると、他者の評価が気になります。集団から孤立することは、死を意味していたため、他者からの評価に反応するようになっているのです。

「情報を求める」という本能が刺激されると、疲れていても、遅くまでスマホを見続けてしまいます。狩猟時代には情報を知っていることは、生存に有利だったかもしれません。しかし、現代では情報は無限に存在します。

「高カロリーのものを食べる」という本能が働くと、ダイエット中でも甘いものを食べてしまいます。食料が不足していると感じると、過剰に食べようとしてしまいます。

このような誤作動によって、私たちは「またやってしまった」という自己嫌悪に陥ってしまうかもしれません。

5章 自己制御を取り戻すために

では、本能に振り回されず、自分らしく生きるためにはどうすればいいのでしょう。

まず、大切なのは「本能が働いている時、自分は正常に判断できない状態にある」と知ることです。怒りや怖れ、強い欲求を感じた時、それは黄色信号です。そのまま行動するのではなく、一度立ち止まりましょう。深呼吸をしてその場から離れ、人間脳を再起動させましょう。

次に、自分の本能のパターンを知ることです。どんな時に感情的になりやすいか、どんな誘惑に弱いか。それを知ることで、事前に対策を立てることもできます。お腹が空いている時に、食料品売り場に行かないと決めるだけで、本能の影響を減らせます。

そして、自分に優しくすることも忘れないでください。本能に負けた自分を責めるのをやめましょう。何万年も前から働いている本能の力に打ち勝つのは、容易なことではありません。失敗から学び、自分の癖を理解することが大切です。

6章 本能と共に生きる

本能は敵ではありません。それは私たちの祖先が生き延びるために獲得した、かけがえのない贈り物です。問題は、その本能が現代社会の状況と合わなくなっていることなのです。

本能をなくすことはできませんが、理解することはできます。そして、理解することで、振り回される時間を減らし、自分の理性や価値観に基づいて生きる時間を増やすことができます。

怒りを感じた時、「ああ、今、扁桃体が反応しているんだな」と思えるだけで、少し冷静になれます。強い欲求に駆られたとき、「これは本能だな」と認識するだけで、一呼吸おけます。その小さな習慣が、自己制御への扉を開いてくれます。

本能と仲良く付き合いながら、それでいて本能に支配されない。そんなバランスを見つけたとき、私たちはより自分らしく過ごせるのではないでしょうか。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

山田 結子

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