なぜ人を信じられないのか――敵対意識の奥で叫ぶインナーチャイルドの声

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⬜︎目次⬜︎

  1. 1章 幼少期に「守られなかった」体験が残したもの
  2. 2章 「常に警戒していること」が、生き延びる術だった
  3. 3章 「いつか攻撃される」という不安の積み重ね
  4. 4章 「先に攻撃する」ことで、自分を守ろうとする
  5. 5章 インナーチャイルドが本当に求めているもの

些細なことで警戒心が働いてしまう。人の言葉を信じられず、「裏があるのではないか」と疑ってしまう。誰かと親しくなりかけると、なぜか距離をとりたくなる。

こうした敵対的な反応の背景には、実は深い「安全への渇望」が隠れています。心の奥底にいる傷ついた子どもの部分――インナーチャイルドは、今もなお「安心できる場所」を求め続けているのです。

大人になっても消えない敵対意識は、幼い頃に十分に得られなかった安全感を、必死に自分で作り出そうとする試みなのかもしれません。今回は、敵対意識が強い人の心の奥で、インナーチャイルドがどのような体験をしてきたのか、そしてどのような安全を求めているのかを見ていきましょう。

1章 幼少期に「守られなかった」体験が残したもの

本来、子どもは無条件に守られ、愛され、安全な環境の中で育つべき存在です。親や養育者が安全基地となることで、子どもは「何があっても守ってもらえる」という基本的な信頼感を育んでいきます。

しかし、すべての子どもがそのような環境で育つわけではありません。

身体的・精神的な虐待を受けた経験がある場合はもちろん、一見すると「普通の家庭」に見えても、心の安全が脅かされていたケースは少なくありません。親が感情的に不安定でいつ怒り出すかわからない、生活に疲弊していて子どもの気持ちに寄り添う余裕がない、兄弟姉妹との比較の中で常に否定的な評価を受けた、完璧を求められ少しのミスも許されなかった――そのような環境では、子どもは「ありのままの自分」でいることが許されません。

常に親の顔色をうかがい、どうすれば怒られないか、どうすれば愛してもらえるかを考え続けます。本来なら無邪気に遊び、感情を自由に表現できるはずの時期に、生き延びるための戦略を練らなければならないのです。

また、積極的な虐待がなくても、「必要なケアが得られなかった」体験も深い傷を残します。泣いても誰も来てくれない、話を聞いてもらえない。こうした「不在」の体験は、「自分は大切にされる価値がない」というメッセージを心に刻み込みます。

2章 「常に警戒していること」が、生き延びる術だった

安全が保障されない環境で育った子どもは、自分で自分を守る方法を学ばなければなりません。それが「常に警戒する」という生存戦略です。

親の機嫌が変わりやすい家庭で育った子どもは、親の表情や声のトーン、歩き方の音などから「今は近づいても大丈夫か」を瞬時に判断する能力を発達させます。家庭内に暴力があった場合、子どもは常に緊張状態にあります。いつ怒鳴り声が響くか、いつ物が飛んでくるかわからない。そんな環境では、リラックスすること自体が危険なのです。

また、感情表現が許されない環境では、子どもは自分の感情を押し殺すことを学びます。泣けば「うるさい」と叱られ、喜べば「調子に乗るな」と抑えつけられる。素直な感情を出すことが危険だと学んだ子どもは、自分の感情を麻痺させたり、切り離したりすることで身を守るようになります。

こうした警戒状態は、何年にもわたって毎日・毎時間続きます。その結果、「警戒していることが当たり前」が心の基本設定になってしまうのです。

大人になった今、客観的に見れば安全な環境にいても、「警戒を解いたら危険だ」という信念が心の奥底に残っています。それが、現在の敵対意識として表れているのです。

3章 「いつか攻撃される」という不安の積み重ね

幼少期に繰り返し傷つけられた経験は、単に過去の記憶として残るだけではありません。「人は私を傷つける存在だ」「世界は危険な場所だ」という根深い信念として、心と身体に刻み込まれます。

これは意識的に考えて形成されるものではありません。言葉にならない、身体レベルでの学習です。

親から繰り返し否定された子どもは、「自分には価値がない」という信念を持ちます。すると他者からの評価が異常に気になり、少しでも否定的な反応があると「やっぱり自分はダメだ」と感じてしまう。そして、否定される前に自分から攻撃的になることで、傷つくことを避けようとします。

信頼していた人に裏切られた経験がある人は、「人は最終的には裏切る」という信念を持ちます。どんなに優しくされても「これはいつか裏切るための前フリだ」と疑ってしまう。だから、深く関わる前に距離をとり、先に拒絶することで、裏切られる痛みから自分を守ろうとします。

このような不安は、ひとつひとつは小さくても、長年にわたって積み重なることで心に大きな重荷となります。まるでコップに水を一滴ずつ注ぐように、ある時点で溢れ出す。その溢れ出した不安が、過剰な敵対意識として表れるのです。

4章 「先に攻撃する」ことで、自分を守ろうとする

傷つくことへの怖れが強いとき、人は「傷つけられる前に攻撃する」という戦略をとることがあります。これは意識的な選択ではなく、自動的に作動する防衛メカニズムです。

誰かが近づいてきたとき、「この人は私を傷つけるかもしれない」という不安が湧き上がる。その不安に耐えられず、相手が何かする前に冷たい態度をとったり、拒絶的な言葉を投げかけたりする。すると相手は距離をとる。結果として「自分が傷つけられる」最悪の事態は避けられたように感じるのです。

また、「試し行動」として敵対的な態度をとることもあります。「こんな態度をとっても、それでも受け入れてくれるだろうか」と無意識に試しているのです。幼少期に無条件の愛を得られなかった人は、「ありのままの自分では愛されない」と信じています。だからこそ、わざと嫌な態度を取り、「それでも離れないか」を確認しようとします。

しかし、この戦略には大きな代償があります。先に攻撃することで傷つくリスクは減るかもしれない。でも同時に、人間関係を育む機会を失ってしまいます。本当は誰かとつながりたい、理解されたい、愛されたいと願っているのに、その願いを叶える可能性を自ら閉ざしてしまうのです。

5章 インナーチャイルドが本当に求めているもの

敵対的な態度の背後で、インナーチャイルドが本当に求めているもの――それは「無条件の安全」です。

ありのままの自分でいても拒絶されない。弱さを見せても見捨てられない。失敗しても否定されない。怒っても、泣いても、それでも受け入れてもらえる。そんな絶対的な安全感が、心の奥底で渇望されているのです。

しかし、過去の経験から「そのような安全は存在しない」と学習してしまっています。だからこそ、自分で自分を守るしかないと信じ、常に警戒し、時には攻撃することで身を守ろうとしているのです。

この渇望に気づくことが、回復への第一歩です。「私は安全を求めている」「傷つきたくないから、警戒しているんだ」と理解できたとき、自分の敵対的な態度が、実は自分を守ろうとする健気な試みだったことに気づけます。

そして、少しずつでも「今は安全だ」という体験を積み重ねていくこと。信頼できる人との関係の中で、「ありのままの自分を出しても大丈夫」「弱さを見せても拒絶されない」という経験を重ねることで、インナーチャイルドは徐々に警戒を解いていけます。

敵対意識は、幼い頃のあなたが生き延びるために身につけた防衛手段でした。それを悪いものだと思う必要はありません。ただ、大人になった今のあなたは、別の方法で自分を守ることができる。傷ついたインナーチャイルドに「もう大丈夫だよ」と優しく語りかけながら、新しい安全の体験を一緒に積み重ねていきましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

山田 結子

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