母子癒着が引き起こす問題――「仲が良い」では終わらない影響

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⬜︎目次⬜︎

  1. 1章 「自分がわからない」という悩み
  2. 2章 罪悪感という見えない鎖
  3. 3章 他人との距離感がわからない
  4. 4章 自己肯定感の極端な低さ
  5. 5章 人生の主導権を握れない
  6. まとめ

「うちは母親と仲が良いんです」

「何でも話せる関係で、友達みたいなんです」

こう語る人の中には、母子癒着という問題を抱えているケースがあります。母子癒着とは、母親と子どもの心の境界線が曖昧になり、お互いに過度に依存している状態のことです。

一見すると「理想的な親子」に見えますが、実際には子どもの人生に深刻な影響を及ぼすことがあります。今回は、母子癒着がもたらす主な問題について解説します。

1章 「自分がわからない」という悩み

母子癒着で最も深刻な問題のひとつが、自分がわからなくなることです。

「自分は何が好きなのか」「何をしたいのか」「どう感じているのか」――こうした基本的なことがわからなくなります。なぜなら、常に「お母さんならどう思うか」「お母さんは何を期待しているか」を基準に物事を判断してきたからです。

例えば、レストランでメニューを選ぶ場面。母子癒着が強い人は、「自分が何を食べたいか」ではなく、「母親が選びそうなもの」「母親が喜びそうなもの」を無意識に選ぼうとします。

進学、就職、結婚という人生の重要な選択も同じです。自分の本当の気持ちではなく、母親の価値観や期待に沿った選択をします。そして、その選択が本当に自分の望みなのか、母親に合わせているだけなのかが、自分でもわからないのです。

これは単なる優柔不断ではありません。自分という人間の核となる部分が、母親と混ざり合ってしまっている状態なのです。

2章 罪悪感という見えない鎖

母子癒着のある人を苦しめるのが、強い罪悪感です。

「自分が幸せになることは、母を裏切ること」「自分が楽しむことは、母を悲しませること」「自分が母から離れることは、母を見捨てること」

こうした思い込みが、無意識のうちに刷り込まれています。

例えば、友達との旅行を計画したとき、楽しい気持ちと同時に罪悪感が生じます。「お母さんを一人にしてはいけない」「お母さんは寂しがっているのではないか」と考え、キャンセルしてしまうこともあります。

恋愛でも似たようなことが起こります。恋人ができても心から楽しめず、デート中も母親のことが気になります。「お母さんより恋人を優先している」という罪悪感が生じて、恋愛関係を自ら壊してしまうこともあるのです。

このような罪悪感は、母親が意図的に刷り込む場合もありますが、子ども自身が母親の寂しさや不満を感じ取って、自ら背負い込んでいる場合もあります。いずれにせよ、この罪悪感が「見えない鎖」となって、人生の選択を縛り続けます。

3章 他人との距離感がわからない

母子癒着は、人間関係全般に影響を及ぼします。

母親との関係で「適切な距離感」を学べなかったため、他者とも健全な距離を保つことができません。また、他者感情にも過敏になると、ますます距離感が調整できなくなります。

1)距離が近すぎる関係を築いてしまう

知り合ったばかりの人に、プライベートなことを何でも話してしまう。相手の領域に踏み込みすぎて、相手を困らせる。恋愛では、相手と一体化しようとして、束縛や依存が強くなる。

2)距離が遠くなりすぎる

他人に心を開くことが怖く、表面的な関係しか築けない。本音を言えず、いつも相手に合わせてしまう。親密になりそうになると、無意識に関係を壊してしまう。

3)他者の感情に過敏になる

他者の機嫌を常に気にしてしまう。「相手を怒らせてはいけない」「相手を失望させてはいけない」という強迫観念を持つ。

友人関係でも、「断れない」「頼まれたら引き受けてしまう」という問題が生じます。自分の意思よりも、相手の期待に応えることを優先してしまうのです。

4章 自己肯定感の極端な低さ

母子癒着のある人は、自分で自分を認めることができません。

子ども時代から、「母親の期待に応えること」が自分の価値だと教え込まれているため、「母親に褒められると自分に価値がある」「母親に失望されたら自分には価値がない」という条件付きの自己肯定感しか持てないのです。

大人になってからも、この構造は変わりません。上司、恋人、友人など、他者からの評価が自分の価値を決めると信じています。常に「これで良いのか」「嫌われていないか」と不安を抱え、他者の顔色をうかがい続けます。

また、完璧主義に陥りやすいのも特徴です。「完璧でなければ愛されない」「失敗したら見捨てられる」という怖れがあるため、過度に頑張りすぎて疲弊してしまいます。

小さな失敗でも自分を責め続けます。「やっぱり自分はダメだ」「自分には価値がない」と極端な自己否定に陥ります。一方で、成功しても素直に喜べません。「まだ足りない」「これくらいで満足してはいけない」と、自分を認めることができないのです。

5章 人生の主導権を握れない

母子癒着のある人は、自分の人生を自分で決めることに恐怖や不安を感じます。

重要な決断の場面で、自分の直感ではなく「母親はどう考えるか」というフィルターを通して世界を見てしまいます。転職や結婚においても、「自分がどう生きたいか」ではなく「母親が安心するか」「母親が認めるか」が判断基準になります。

たとえ自分で決めたことでも、母親が少しでも難色を示せば自信を失い、選択を撤回してしまうこともあります。

こうして人生の主導権を明け渡した結果、年齢を重ねても「自分の人生を生きている」という実感が持てず、深い虚しさを抱えることになります。

まとめ

母子癒着は、目に見える暴力とは違って、「愛情」という形をとっているため、問題として認識されにくいのが特徴です。

もし、あなたが自分らしく生きることが難しく、愛情があるはずなのに苦しいという状況に陥っているのなら、この可能性があるのかもしれません。

実際には、「母親と仲が良い」ことと「母子癒着」は別のものです。健全な親子関係では、お互いが独立した個人として尊重し合い、適切な距離を保ちながら愛情を育みます。一方、母子癒着では、双方とも自分らしくいる自由を失っています。母自身も子どもとの関係に苦しんでいるケースもあるでしょう。

もし、「自分のことかもしれない」と感じたなら、それは気づきの第一歩です。母子癒着からの回復は、問題の可能性に気づくことから始まるのです。​​​​​​​​​​​​​​​​

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

山田 結子

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