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先日、電子書籍で英語の本を購入しました。
ずっと気になっていたタイトルだったのですが、日本語訳が出ていなかったのです。それでも、アプリに翻訳機能がついていたおかげで、内容を読み取ることができました。本当に便利な時代になったものだと思います。
読み進めながら、少し困ったことがありました。登場人物のセリフを翻訳した箇所で、女性の発言が「俺」や「僕」と訳されていて、一瞬「これは誰のセリフだろう?」と混乱してしまったのです。せめて「私」で統一されていれば、もう少しスムーズに読めたかもしれません。AIを使えばもっと正確な翻訳ができるかもしれないとも思いましたが、大まかな内容はつかめていたので、そのまま読み進めました。
翻訳者がやっていること
読み終えて、まず思ったのは「翻訳者って、すごい仕事だな」ということでした。
作家の別の作品の翻訳本を読んだことがあって、そちらも物語に引き込まれる感覚がありました。でも今回、原文を読んでみると、その引力がさらに強いのです。ページをめくる手が止まらない、胸がざわざわするような焦燥感――翻訳本では薄まっていたそれが、原文にははっきりと残っていました。
これはどういうことだろうと考えながら、ひとつの答えにたどりつきました。

翻訳とは、ただ言葉を置き換える作業ではないのだと思います。物語の中には、文化的な背景や、その国の人にしか伝わらないニュアンスが、至るところに埋め込まれています。主人公が強い怒りを感じるシーンがあったとして、その怒りの背景にある出来事が日本人には馴染みのないものだとしたら――翻訳者は注釈をつけたり、似た状況に置き換えたりしながら、読者が理解できる形に整えていく必要があります。
その「整える」作業が、物語の鋭さを少しずつ丸めていくことがある。原文が持っている生のエネルギーは、どうしても変質してしまう部分があるのです。
今回読んでいたのは児童向けの本だったので、表現にはさらに細かな制約もあったかもしれません。それでも、翻訳者はその制約の中で、物語の魂をできるだけ損なわないように言葉を選び続けている。そう思うと、その仕事の重さがじんわりと伝わってきます。
私が物語を読むとき
ちなみに、私が物語を読むとき、物語の中で主人公の体験していることを疑似体験したくて読んでいます。細かな表現の正確さがなくても、「自分がその場にいるような感覚」を感じられれば、満足できます。
この物語を読んで、流れはほぼ理解できていました。ただ、うまくイメージしきれない場面もありました。

犬たちが走り回っている描写なのですが、なんとなく異世界のような雰囲気で書かれている気がして、その空気感がうまく掴めなかったのです。これは翻訳の問題というより、作者が意図した世界観そのものに関わることかもしれません。正確なところは、作者本人に確認しないとわからないのかもしれません。
もし、この本の翻訳本が出たら、間違いなく翻訳版を買い直して読んでしまうでしょう。原作者が亡くなっているのが残念でなりません。それくらい、翻訳の価値が分かってしまった体験でした。
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