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⬜︎目次⬜︎
安心できる場所だから、弱さが見えた
こんにちは、山田結子です。
先日、初めてボルダリングジムに行ってきました。もともとは登山のトレーニングのつもりでしたが、実際に体験してみると、山とはまた違う難しさに気づかされました。というのも、ジムにはマットが敷かれているので、落ちても怪我のリスクが抑えられるため、思いきり挑戦できるという特徴があるからです。山の岩場では、落ちたら危険なので、どうしても安全なルートしか選べません。ところがジムでは、限界まで手を伸ばしても、小さな足場に乗ってみても大丈夫。そうした安心感の中でこそ、自分の弱いところがはっきりと見えてきたのです。

この体験を通して感じたのは、「苦手なこと」「できないと思い込んでいること」との向き合い方についてでした。挑戦や失敗が許される安全な場所だからこそ、自分の本当の姿が見えやすくなるのだと思います。逆に登山中はもっと緊張感があるため、ここまでじっくり自分を振り返るのは難しいのかもしれません。
考えてみると、日常には「失敗してはいけない場所」が多く、そういう場所でいきなり行動することを求められる場面も少なくありません。職場での振る舞い、家庭での役割、周囲との関係――どれも、うまくいかなかったときのことを考えて、無意識に安全な道を選んでしまいがちです。けれど、本当に自分の弱さや伸びしろに気づけるのは、むしろ少し転んでも大丈夫な、守られた場所なのかもしれません。
そう考えると、今回のボルダリング体験は、私が何十年も気づかずにいた「思い込み」の存在に、気づかせてくれるきっかけになったのだと思います。
気づかなかった、自分の弱いところ
ボルダリングでは、ホールドと呼ばれる突起に手や足をかけながら、壁を登っていきます。壁には傾斜のきついものもあり、ぶら下がるような姿勢で次のホールドへ手を伸ばすため、肩や背中の筋力が求められます。
ところが私は、下半身にはある程度自信があったものの、上半身、特に肩から背中にかけての筋肉はほとんど使ってきませんでした。そのため少し登っただけで手の平が真っ赤になり、腕はパンパンに張って、次のトライまで休憩が必要なほどでした。
さらに、身長が低く手足も短いため、頑張って伸ばしても次のホールドに手が届かないこともありました。そんなときはスメアリング(壁に足の裏を擦りつけて摩擦で立つ技術)で移動するとよいと教わりましたが、実際には足場のないところを移動する怖さもありました。
特に、なんの支えもなく小さな足場に足を置いて壁の上部にぶら下がる時間は、非常にスリリングなものでした。集中力を切らさずに下っていくよりも、いっそ思い切って飛び降りたい気持ちが湧いてくることもあったほどです。
幼い頃の「できない」が、今も続いていた
壁にぶら下がりながら、ふと子どもの頃の記憶がよみがえってきました。小学生のとき、雲梯や鉄棒が苦手で、長くぶら下がっていることができなかったのです。
当時を振り返ると、おそらく肩と背筋の力が弱く、猫背気味だったのだと思います。ただ、親からは勉強をするようには言われても、運動をするようにと言われたことはありませんでした。学校の課題で鉄棒の練習をしたときも、できるようになるまでただ鉄棒を握り続けるだけで、どこを鍛えればうまくいくのかというアドバイスをもらうこともありませんでした。今思えば、肩と背筋を鍛えていれば克服できたのかもしれません。

こうして「もともと苦手なもの」は、大人になってからも視界に入りにくくなっていきます。挑戦する前から「自分にはできない」という前提ができあがり、その分野に近づこうとしなくなるからです。すると、できないことを避け続けるうちに「できない自分」というイメージも固定化され、正しい練習をすれば変わるかもしれないという可能性すら見えなくなってしまいます。
つまり、「苦手」という言葉で片づけてしまうと、そこで思考が止まってしまうのです。本当に苦手なのか、それとも練習すればできるようになるのか、一度立ち止まって見極めてみてもいいのかもしれません。
「できる人」を見て感じたのは、焦りではなく道しるべ
ジムには、しなやかに筋肉のついた上級者の人もいました。傾斜のきつい壁でも、まるでオランウータンのように滑らかにぶら下がり、涼しい顔でホールドを移動していきます。準備運動中は、ずっと懸垂を続けていました。
一方、比べてみると私の動きはドタバタとぎこちないものでした。関節の動きの滑らかさも、筋肉の力も、何もかもが違うと感じたのです。
そんな姿を見ているうちに、上手な人の動きが、自分の動きを見直すきっかけになると気づきました。自分の枠の中だけで考えていては、「できないこと」はいつまでもできないままです。ですが、こんなふうに体を動かせるようになったらと想像すると、越えられない壁が越えられる壁に思えてきます。
たしかに、自分よりできる人を見て、焦りや自己否定を感じてしまう方もいるかもしれません。しかし視点を変えれば、そこには先を行く人がいることのよさもあります。成長のための地図を描きやすくなったり、自分が限界だと思っていた場所が実は限界ではなかったのだと、知る機会にもなるのです。
本当の自分に気づくために、安心できる場所を
ジムで登った壁は、山とは違い、転んでも落ちても大丈夫な場所でした。だからこそ、自分の弱いところにきちんと向き合えたのだと思います。「安心して試せる場所」とは、失敗しても関係が壊れない、評価が下がらないと感じられる場所のことです。人間関係にも、そうした場所があると、弱さに向き合いやすくなるのかもしれません。
私たちは「苦手」だと思い込むと、その課題に近づくことすらやめてしまいがちです。できないことはできないままになり、あえて挑戦しよう、成長しようとも思わなくなっていきます。挑戦の機会も成長の機会もないまま、「できない自分」は実際の能力とは関係なく、記憶の中で固定化され、放置されてしまうのです。

これから鍛えていけば、昔できなかったことも、いつか越えられていくかもしれません。長く続いていた体の癖が修正されることで、心の状態まで大きく変わっていく可能性もあります。
もしかしたらあなたにも、幼い頃から「これは無理」と思い込み、避け続けているものがあるかもしれません。それは運動に限らず、人間関係や物事の感じ方についても、同じことが起きている可能性があります。幼い頃に「これは自分には無理」「こういうときは逃げるしかない」と思い込んでしまうと、大人になってもその領域に近づけなくなり、本来は練習や経験の積み重ねで乗り越えられることさえ、見えなくなってしまうのかもしれません。
それが本当に越えられない壁なのかを見直し、安心して試せる場所を見つけていくこと。それこそが、本当の自分に気づく一歩になるのかもしれません。たとえば、本音を話しても否定されない相手、うまくいかなくても関係が揺らがない場所。そういう場所が身近にあるかどうかで、自分の弱さへの向き合い方は大きく変わってきます。常に評価され、緊張感を求められる場所にいると、案外気づけない部分があるのかもしれません。
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この記事を書いた人について
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「自分には価値がない」という思い込みを手放し、本来の自分を取り戻すサポートをしています。ヒーラー&リーダーの山田結子です。
インナーチャイルドの癒しに携わって約20年。ヒーリングとリーディングを組み合わせたセッションで、多くの方の「自分らしい生き方」への一歩をご一緒してきました。
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