【コラム】怖れがあっても、大丈夫。伊予ヶ岳が教えてくれたこと

⬜︎最新の記事⬜︎ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

⬜︎目次⬜︎

低山なのに侮れない「伊予ヶ岳」に感じた怖れ

千葉県の南房総市にある伊予ヶ岳は、関東百名山に数えられる標高336.3メートルの山です。突き出た岩峰の山頂が印象的で、「房総のマッターホルン」と呼ばれることもあります。天狗伝説も残る山だそうです。

事前に山のコースや特徴を調べるのはいつものことですが、今回は何の準備もせずに行くことに怖れがありました。動画や写真を見ると、絶壁のように見える場所があったからです。岩がゴロゴロしている程度ならまだいいのですが、足場の選び方が生死を分けるような場面もあるとなると、準備なしで進んでいいものかと迷いました。低山とはいえ、岩登りの技術を一段階引き上げる必要があると感じたのです。

前回の菊花山では、下りでズルズルと滑り落ちた場面がありました。怪我はありませんでしたが、岩場がある以上、足場を見極める力を高め、体の安全な動かし方を身につけるなど、基本を押さえておく必要があると痛感しました。

特に下りは、疲労で集中力が落ちやすく、怖れにも飲み込まれやすいタイミングです。だからこそ、心と向き合いながら安全に動ける状態をつくっておくことが大切だと考えました。

挑戦の前に準備してみる

今回のコースは、平群天神社から山頂を目指すルートです。前半は歩きやすいものの、東屋に到達したあとは鎖場が続きます。装備としてはヘルメットを準備しました。できるだけ安全に動くつもりでも、万が一のときに体を守るものは必要です。

登山前にはボルダリングにも行きました。岩登りの基本をもう少し身につけておきたいと思ったからです。これまでの登山前の準備といえば装備が中心でしたが、今回は体の使い方についても見直すことになりました。

ボルダリングを通じて、肩から背中にかけての強化が必要だとわかりました。下半身だけを鍛えても、岩登りは安定しません。ホールド(壁の突起)を掴んでぶら下がれる程度の力があれば、簡単には岩から落ちないこともわかりました。

どの程度の足場なら体を預けられるのか、感覚として掴みやすくなったのも収穫でした。全身の筋力がもっと発達すれば、不安定な足場でも耐えられるはずです。ただそれには、重心の移動と体重の分散をうまく行う必要があります。どこまでできるようになるかはわかりませんが、少しずつ積み重ねていきたいと思いました。

同時に、単純に高所への怖れがあることにも気づきました。ボルダリングのゴールは高い位置に設定されていて、手を伸ばせば天井に届きそうな高さです。下を見るとくらっとします。小さな足場に足を引っ掛けているだけの状態で高さを見下ろすと、それだけで怖れが湧いてきます。これに少しずつ慣れていければ、岩登りの本番でも冷静さを保ちやすくなるはずです。

体の使い方が変わると、見える景色が変わる

ボルダリングの効果は、思った以上にすぐ表れました。体験は一回だけでしたが、それでも得るものは大きかったです。

まず変わったのは、足場を選ぶときの目線です。どこに足を置き、次にどこへ移るかをコースとしてシミュレーションできるようになりました。これまでは、その場その場で足場を選ぶやり方をしていたため、たまたま置いた場所が不安定だとかなり焦っていました。それが、コース全体を俯瞰するような感覚に変わっていったのです。

四肢の使い方の変化も印象的でした。以前は体重のほとんどを足にかけていましたが、腕にも同じくらい体重を分散させると、足の移動がぐっと楽になることが感覚的にわかってきました。重心の移動の仕方そのものが変わったのだと思います。

こうして岩場を冷静にコースとして捉えられるようになると、登りにくい箇所でも、どこまで進み、どこで休憩し、どこへ向かうかを判断しやすくなりました。

下りへの怖れは残っていたものの、以前より軽くなったと感じます。もちろんスイスイとは進めず、登りにくい場所もありましたし、鎖やロープを頼りに移動する場面は今も怖いです。

息が上がると集中力は下がり、大岩を目の前にしてゲンナリすることもありました。それでも進もうと気持ちを奮い立たせる過程そのものが、良いトレーニングになったと感じています。

体の変化は、人間関係や思考パターンにもつながっている

普段から同じ場所を同じ姿勢で歩いていると、受ける刺激が少なくなり、体の使い方の自由度も下がっていきやすいものです。

体の動かし方が変わると、人間関係や物事の捉え方にも変化が波及することがあります。一見小さなことのようでいて、実は自分の枠を超える体験なのです。

同じパターンを繰り返している自分に気づきやすくなったり、違うやり方を試してみようという気分になれたりするなら、それだけで大きな価値があります。

たとえば、親と話すときに同じ場面でいつも黙ってしまうなら、その流れを崩してひとこと発せられるだけで、関係性を少しずつ変える力がついてきます。もちろん、これまで経験したことのない話し方をするのには不安や怖れが伴います。「今日は疲れたから早く休むね」という、距離を取るだけの一言であっても、これまで黙り続けていたことを思えば、十分な一歩と言えるでしょう。

今回の登山では、準備してから臨むという体験もしました。岩場を安全に攻略できるかどうかが重要な焦点でした。たとえ登り切れたとしても、「もうこんな怖い思いはしたくない」という後味になるのは避けたかったのです。準備を重ねて危険への怖れを減らし、少し余裕を持って攻略する。それこそが、今回大切に受け取りたかったことでした。

怖れがあっても、大丈夫。それでも進める自分になる

どれだけ準備しても、怖れが完全になくなることはありません。それでも、体のトレーニングを積んでおくと安心感が生まれることは、はっきり実感できました。岩を登るのが難しいポイントはあったものの、登り終えたあとも体力には余裕が残っていたのです。この余裕こそが、安心感につながっていたのだと思います。

体力がギリギリだと、精神力もすぐに限界を迎えてしまいます。精神力だけを鍛えようとするより、体力をつけるほうが合理的な場合もあるのでしょう。

怖れと向き合える力がつくと、難しいことにも対応しようという気持ちが芽生えたり、「なんとかなる」という感覚を持てたりします。それは「答えがわかれば進める」「方法さえわかれば大丈夫」という発想とは少し違い、もっと根源的な「怖れがあっても大丈夫」という感覚を育てるものです。

準備を通じて怖れを軽減させながら、それでも怖れが残ったまま進む。そんな体験ができました。これからも、怖れがあることを自覚しながら向き合い、少しずつ軽減させていくことを習慣にしたいですね。習慣にすることで怖れへの反応そのものが和らぎ、これまで避けてきたことや苦手なことにも、少しずつ向き合いやすくなっていくのではないかと期待しています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

⬜︎前の記事⬜︎

「比較」がつらいのは、前提そのものが間違っているから

⬜︎次の記事⬜︎

「失敗が怖い」の正体は、実は「関係が壊れる恐怖」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

この記事を書いた人について

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「自分には価値がない」という思い込みを手放し、本来の自分を取り戻すサポートをしています。ヒーラー&リーダーの山田結子です。

インナーチャイルドの癒しに携わって約20年。ヒーリングとリーディングを組み合わせたセッションで、多くの方の「自分らしい生き方」への一歩をご一緒してきました。

→【山田結子について、もっと読む】

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

もっと深く知りたい方へ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

メルマガでは、自分らしく生きるための考え方や、インナーチャイルドを癒すヒントを定期的にお届けしています。登録後は「本当の自分を取り戻す5つのステップ」(全5回)が順番に届きます。読むだけで大丈夫です。あなたのペースで受け取ってください。

→【メルマガの読者登録はこちら】

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

⬜︎カテゴリ⬜︎

⬜︎最新の記事⬜︎

コメントをどうぞ