【コラム】聞きすぎず、閉じすぎず。合唱奉納で気づいた「自分軸」の育て方

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台風の合間に、諏訪大社で歌った日

先日、関東に台風がやってきました。被害に遭われた方々には、心よりお見舞い申し上げます。一日も早く平穏な日常が戻りますよう、お祈りしております。

台風の進路が心配されるなか、長野の諏訪大社へ合唱奉納に行ってきました。前日になっても雨の予報は変わらず、大雨の中で歌うことも覚悟していました。ところが当日は幸いにも晴れ間がのぞき、ときおり小雨がぱらつく程度のなかでの奉納となりました。

諏訪大社の四社のうち、上社本宮、下社春宮・秋宮の三社を巡り、全部で十一曲を歌いました。とても貴重な体験となりました。今回はこの経験を通して感じた、「合唱には、自分らしく生きるための大切なエッセンスが詰まっている」ということをお伝えしたいと思います。

風鈴と太鼓の音に溶けていく声

私自身、屋外で歌うのは今回が初めてでした。本宮では、歌っている最中に通路の風鈴が美しい音を奏で、風が吹くたびに木の葉が舞い散る光景が目に入ってきました。屋外では声が響きにくいのではと心配していましたが、実際には普段とはまったく違う感覚で歌えました。途中で感極まり、声が出なくなった方もいたようです。

春宮と秋宮では、神楽殿の中で歌いました。外からは太鼓の音や、参拝する方が手を打つ音が響いてきます。自分たちの歌が神社の空気に溶け込み、ひとつになっていくような感覚がありました。

普段の練習は、主にホールで行っています。ホールで歌うときは、どうしても「音楽としての歌」を意識しがちです。うまく歌えているか、どう評価されるかも、それなりに気になります。けれどもこの場所では、歌うこと自体が神事であるように感じられました。他のパートの音と混ざり合う感覚も、とても心地よいものでした。

日常の練習で、こうした感覚を味わうことはまずありません。合唱奉納だからこそ得られた体験だったのだと思います。

「正しい音」より「和音」を。人との関係にも通じるバランス

合唱では、自分のパートをしっかり歌うことが大切です。ただしそれは、他のパートの音を聞きながら行うもの。自分の音程さえ絶対的に正しければいい、というわけではありません。微妙な和音のときには、同じ音でも少し高め、あるいは少し低めに取ることが求められる場面もあります。大切なのは和音をつくることであって、孤立して正しい音を出し続けることではありません。

これは、人との関係にも通じます。

たとえば、心を閉ざし、傷つかないように人と表面的な関係を築いている状態。これは自分を守るために、周囲の声を「聞かないようにしている」状態だと言えるかもしれません。反対に、親や友人の意見を聞きすぎて、自分がどうしたいのかわからなくなっている状態。こちらは周囲の声を「聞きすぎて」、自分の声を見失っています。

どちらも根っこには、「自分はここにいていいのだろうか」「声を出したら迷惑ではないだろうか」「受け入れてもらえないのでは」といった不安や怖れがあるのかもしれません。だからこそ、相手に合わせすぎるか、極端に自分を守るか、どちらかに大きく振れてしまうのです。

本来は、自分の声を適度に出しながら、周囲の声にも耳を傾けられるくらいの余裕があるのが理想です。相手を理解しようとしつつも、寄りすぎない。自分と相手の境界線を保ったまま、異なる音程で響き合う。お互いの音を尊重しながらも、自分はぶれない。そんなバランスが大切なのだと思います。

自分の声に意識を向けると、自分軸が育つ

では、そのバランスを支える「自分軸」は、どうすれば育つのでしょうか。

歌を美しく歌おうとすると、取り組むべきことがたくさんあります。腹式呼吸、姿勢の改善、発声や発音の修正、舌の動きの活性化など、数えればきりがありません。なかには、これまで意識したことすらなかったものもあるでしょう。

こうした練習に共通しているのは、「自分の体や声に意識を向け続ける」ということです。自分の呼吸や感覚に丁寧に目を向けていると、意識は自然と外側ではなく、自分の内側に向かうようになります。

私自身、合唱に参加するようになってから、この変化を実感しました。以前は人に巻き込まれないよう、他人の影響を受けすぎないようにと、いつも周りばかりを気にして神経をすり減らしていました。それが少しずつ和らぎ、「いま自分はどう感じているのか」に目を向けられる時間が長くなっていったのです。

自分の気持ちに意識を向ける時間が増えると、価値観や考え方も整理されていきます。「自分にとって心地よいのはどんな考え方か」が、少しずつ見えてくるのです。

反対に、自分の気持ちに意識を向けられないままだと、価値観はなかなか育ちません。すると、他人の価値観に振り回されやすくなります。経験に基づかない価値観は、教科書を丸暗記したようなもの。現実の場面では、そのままでは使えないことが多いのです。

価値観は、経験を通して少しずつ磨かれていくもの。自分の感覚を大切にする経験の積み重ねこそが、揺らぎにくい自分軸をつくっていきます。

自分の声で歌うと、自然にハーモニーが生まれる

合唱を続けていると、同じパートの中でさえ、歌い方のわずかな違いで声が割れたり、混ざりにくくなったりすることに気づきます。音程は周りに合わせて微調整できても、声そのものを無理に変えた状態は長く保てません。一方、自分の体に合った自然な発声で歌うと、周囲の声ともよく混ざり合っていきます。

これは、人との関係でも同じではないでしょうか。言い方や距離感は相手に合わせて整えられても、本心そのものをつくり変えることはできません。嫌われないように本心を抑えたり、相手の期待に合わせて自分を演じたりしても、その無理は長くは続かないのです。むしろ、ありのままの声で関わるほうが、お互いに心地よく響き合えます。

自分のパートを、自分の声で歌う。その積み重ねが、人との関係を少しずつ、心地よいハーモニーへと変えていきます。

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定期演奏会のお知らせ

私が所属する合唱団の定期演奏会を開催します。一人ひとりの声が重なり合って生まれるハーモニーを、会場で感じていただけたら嬉しいです。

ほんとうの始まり

日時:2026年11月21日(土)開場18時半/開演19時

会場:横須賀はまゆう会館(衣笠駅より徒歩3分)

曲目:くちびるに歌を、故郷、ほんとうの始まり(初演) ほか

入場料:無料(全席自由)

お申し込み:問い合わせフォームにご連絡ください。案内をお送りします。https://ayumuashi.com/問い合わせ/

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この記事を書いた人について

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「自分には価値がない」という思い込みを手放し、本来の自分を取り戻すサポートをしています。ヒーラー&リーダーの山田結子です。

インナーチャイルドの癒しに携わって約20年。ヒーリングとリーディングを組み合わせたセッションで、多くの方の「自分らしい生き方」への一歩をご一緒してきました。

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