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⬜︎目次⬜︎
本当の自分を大切にしたい。自分らしく生きたい。そう思っているのに、いざ本音を言おうとすると胸が苦しくなり、「やっぱりやめておこう」といつもの自分に戻ってしまう。
そんな経験はありませんか。
本当の自分を出せないのは、意志が弱いからではありません。多くの場合、心の奥にある「本当の自分を出したら大変なことになる」という幻想が、ブレーキをかけています。
この記事では、本当の自分を出せない人が抱えやすい3つの幻想――「本当の自分ではうまくいかない」「本音を言えば幻滅される」「一回でうまくいかないとダメ」――を、ひとつずつ解きほぐしていきます。
なぜ幻想は「事実」のように感じられるのか
これから紹介する3つの幻想は、本人にとってはとても現実味のあるものです。まるで確かな事実のように感じられるため、疑うことさえ思いつかないかもしれません。
それには理由があります。子どもにとって、親に受け入れられるかどうかは、生きていけるかどうかに直結する問題です。だからこそ、ありのままの自分を繰り返し否定されると、子どもは「本当の自分は出さないほうが安全だ」と学ぶことがあります。それは弱さではなく、その環境を生き抜くための賢い工夫でした。

問題は、その工夫が大人になっても「ルール」として残り続けることです。今のあなたは自分で居場所を選べますし、合わない相手とは距離をとることもできます。それでも心は、かつての安全ルールを自動的に使い続けてしまう。長く守ってきたルールほど、幻想ではなく事実のように感じられるものです。
つまり、本当の自分を出せないのは、あなたに問題があるからではありません。昔の自分を守ってくれたルールが、今も働き続けているだけです。では、そのルールは具体的にどんな形で現れるのでしょうか。
幻想①「本当の自分ではうまくいかない」
一つ目は、「本当の自分を出したら、人生がうまくいかなくなる」という幻想です。
たとえば、本当はやってみたかったことを、親に「そんなことはやめておきなさい」と言われて諦めた。そのときは「これでよかった」と思ったのに、なぜか心にぽっかり穴があいたような感覚が残っている。そんな経験に心当たりはないでしょうか。
ここで一度見直したいのが、その「うまくいく」の基準です。親に認められる、波風を立てない、ちゃんとした人に見られる――。親の望む選択をしたときだけ褒められてきた人は、他人の期待でできたこうした基準を、知らないうちに自分のものにしていることがあります。この基準で測れば、本当の自分を出すとうまくいかないように思えるのは当然でしょう。そもそもその基準は、本当の自分を隠すことでうまくいくようにできているからです。
では、「生きている実感があるか」「心が通い合う関係があるか」という自分の軸で見たらどうでしょう。家族と喧嘩はしないけれど、深い話もしない。親の言葉に従ったあと、どっと疲れが出る。頑張っているのに満たされない。もしそう感じているなら、この基準では、本当の自分を隠す生き方のほうがうまくいっていないのかもしれません。
それでもすぐに手放せないのは、慣れ親しんだ苦しさのほうが、未知の自由より安全に感じられるからです。これはごく自然な心の働きなので、自分を責める必要はありません。
本当の自分でいると、うまくいかないわけではありません。本当の自分を土台にした生き方を、まだ体験していないだけなのです。
幻想②「本音を言えば幻滅される」
二つ目は、「本当の気持ちを言ったら、相手に幻滅される」という幻想です。
言いたいことが喉まで出かかっているのに、「こんなことを言ったらがっかりされる」と飲み込んでしまう。そんな場面はありませんか。
幻滅とは、期待していた姿と違ってがっかりすることです。つまりこの不安の裏には、「本当の私は、今見せている私より劣っている」という思い込みが隠れています。

そう感じてしまうのは、子どもの頃、怒りや寂しさ、甘えたい気持ちを「見せてはいけないもの」として心の奥にしまってきたからかもしれません。本当の自分を思い浮かべると、まずそうした感情が目に入ってしまうのです。
けれど、しまい込んできたのはそれだけではありません。好奇心や優しさ、心から楽しむ力、あなたらしい感性。それらも一緒に、心の奥で眠っています。本当の自分は、決して劣った存在ではありません。
もちろん、本音を伝えたときの反応は相手によってさまざまです。それでも、全員ががっかりするわけではありません。むしろ本音を見せ合えるほど、関係は深まっていくこともあります。安全な範囲で少しずつ、自分を出せる場所を増やしていけば大丈夫です。
本当の自分を出しても、関係が失われるわけではありません。あなたに合う人があなたを見つけやすくなり、いい関係を育てる土台になっていきます。
幻想③「一回でうまくいかないとダメ」
三つ目は、「一回でうまくいかないとダメ」という幻想です。
勇気を出して本音を伝えたのに、うまく言葉にならなかった。思ったより強い口調になってしまった。そんなとき、「ほら、やっぱり本当の自分ではダメなんだ」と落ち込んでしまうことはないでしょうか。
せっかく踏み出した一歩なのに、たった一度うまくいかなかっただけで、幻想①や②をかえって強めてしまう。そこが、この幻想のやっかいなところです。
こうした感覚の背景には、成果を出したときだけ認められてきた経験があることが少なくありません。そのため失敗が、単なる出来事ではなく「私には価値がない」という証拠のように感じられてしまいます。
でも、考えてみてください。本当の自分を出すのは、長いあいだ使ってこなかった力を久しぶりに使うようなもの。何年も我慢してきた人が初めて本音を言えば、ぎこちなくなるのは当たり前です。
自転車に乗り始めたとき、最初から上手に乗れた人はいないでしょう。ふらついたり転んだりしながら、少しずつ感覚をつかんでいったはずです。本音を伝えることも同じです。
うまくいかなかったのは、自分がダメだからではありません。ただ、まだ慣れていないだけなのです。
幻想がゆるんだ先に見える景色と、最初の一歩
幻想がゆるみ始めると、日常の景色は少しずつ変わっていきます。
たとえば家族との会話で、「今日はちょっと疲れた。こんなことがあってね」と話せるようになるかもしれません。そんな何気ないひと言をきっかけに相手も本音を話しやすくなり、表面的だった会話に温かい交流が生まれることもあります。
親との関係も変わっていきます。親から強い言葉を言われても、「私はこう感じている」と自分の気持ちをとらえられるようになる。たとえその場で伝えられなくても、自分の気持ちに正直でいられれば、親の言葉に振り回されることは少しずつ減っていくでしょう。

そして、自分との関係も変わります。失敗した自分を責め続けるのをやめ、興味のあることややりたいことを軸に物事を選べるようになっていく。そんな時間を積み重ねるうちに、「生きている」という実感が戻ってきます。
こうした変化は、一気に起こるものではありません。行きつ戻りつしながら、少しずつ進んでいくものです。
最初の一歩は、小さくてかまいません。一日の終わりに、その日の「本当の気持ち」を振り返ってみましょう。誰かに伝えなくても大丈夫です。自分の本音に気づくことが、本当の自分で生きる練習の始まりになります。
本当の自分ではうまくいかない。本音を言えば幻滅される。一回でうまくいかないとダメ。そう信じてきたのは、あなたがずっと、自分を守るために努力を重ねてきたからです。その努力を、これからは本当の自分を育てるために使ってみませんか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
山田 結子
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この記事を書いた人について
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「自分には価値がない」という思い込みを手放し、本来の自分を取り戻すサポートをしています。ヒーラー&リーダーの山田結子です。
インナーチャイルドの癒しに携わって約20年。ヒーリングとリーディングを組み合わせたセッションで、多くの方の「自分らしい生き方」への一歩をご一緒してきました。
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