【コラム】「知らないもの」を選んだ日に気づいたこと

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⬜︎目次⬜︎

こんにちは、山田結子です。

先日、夫が茨城県に出張へ行くというので、お土産は何がいいか聞かれました。すぐには思いつかず、なんとなくネットを検索していると、奥久慈地方の「凍みこんにゃく」というものを見つけました。聞き慣れない名前に惹かれて、「これがいい」とお願いしてみました。

凍みこんにゃくは、江戸時代から伝わる乾燥こんにゃくです。厳冬期に屋外で凍らせ、昼間は太陽の熱で自然解凍させる――この工程を二十日ほど繰り返し、七日間乾燥させて仕上げるといいます。味が染み込みやすくなり、独特の食感が生まれるそうです。

買ってきてもらった凍みこんにゃくは、フライにしてみました。水で戻すとスポンジのような質感になり、水分をよく吸います。素材そのものに強い味はないため、みりんと砂糖で少し甘めに整えると、私好みの一品に仕上がりました。

なぜ「知らないもの」を選べなかったのか

振り返ると、これまで食材のお土産をお願いしたことは一度もありませんでした。頼むのはいつも、そのまま食べられるものか、茹でるだけで済むもの。夫は仕事で茨城県に行くと、よく干し芋を買ってきてくれますが、それ以外を検討したことはなかったのです。

なぜだろうと考えてみると、「味が想像できるもの」しか選んでこなかったからだと気づきました。この商品はパッケージも地味で、レシピも内側に書かれているため、開けてみないと食べ方がわかりません。そういうものには、なんとなく手が伸びにくいのです。

これは食材選びに限った話ではないでしょう。人間関係でも、いつも同じ話題、同じ距離感でしか相手と関わらずにいると、「わからないもの」に踏み込むことが億劫になっていきます。相手の知らない一面を尋ねたり、自分の本音を見せたりするのは、味の想像がつかない食材を選ぶのと似て、少しの勇気を要する行為です。

その「億劫さ」の奥には、「もし失敗したら」「うまくできなかったら」という、自分への信頼のなさが隠れていることもあります。知らないものを避け続けるのは、単なる好みというより、「自分の選択を信じきれない」という感覚の表れなのかもしれません。

選んでみて見えた景色

思いきって知らない食材をお願いしてみると、想像以上に楽しい体験になりました。味の見当がつかないまま、いくつかのレシピを比べながら料理しました。郷土料理に近い味付けにしたい気持ちもありつつ、自分の好みも大事にしたかったので、濃くなりすぎないよう気をつけました。フライにする途中、これでいいのだろうかと何度か不安になりましたが、今回は一般的なフライの作り方でいこうと決めました。

夫は食べ始めこそピンとこない様子でしたが、食べ進めるうちにじわじわと美味しく感じてきたようです。何度か食べたら癖になりそうな味でした。くにゅっとした食感ながら簡単に噛み切れて、こんにゃくとは全く違う食感です。レシピの説明には、化粧用スポンジとしても使えると書かれていました。高密度でしっとりしたスポンジといえば、近いイメージかもしれません。

食材そのものにはほとんど味がなく、食感が主役なので、味付けをアレンジすればもっと色々な食べ方ができそうです。家庭ごとに異なる味付けの工夫があるのかもしれないとも思いました。

普段の献立は、どうしても評判の良かったメニューの繰り返しになりがちです。使う食材も味付けもほぼ決まっています。そこに「いつもとちょっと違うもの」が入ると、日常に小さな新鮮さが生まれます。

地域の食材を調べ、家庭の中でひとつの体験として実現する。この新しい体験には、自分のやりたいことができたという確かな手応えがありました。

同じパターンを繰り返してしまう心理

同じような毎日を繰り返していると、私たちは少しずつ、小さな動きしかしなくなっていきます。そのほうが効率的で合理的ですが、「新しいもの」を求めていかなければ、生活の質はゆるやかに目減りしていくものです。

これは、効率を優先しているようでいて、実は「試して失敗するかもしれない自分」を避けている状態でもあります。自己否定が強い人ほど、「うまくいくとわかっているもの」ばかりを選びがちになり、結果として自分の可能性や好奇心にふたをしてしまいます。知らないうちに、自分の世界を狭めているのです。

逆にいえば、ほんの少し調べてみる、疑問を持ってみるという姿勢は、「わからないことに飛び込んでも大丈夫」という自分への信頼を、少しずつ育てていく行為でもあります。それは特別な決断ではなく、日常のささやかな選択の中で積み重ねていけることです。

小さな興味の追求が「自分の感覚」を信じるきっかけになる

今後は、旅先や出張先の食材を、もう少し積極的に調べてみようと思います。その土地のことをよく知ることになりますし、地元の人が好んで食べる家庭料理を再現できれば、体験の深みも増していくはずです。

ただ、これは食材選びだけの話ではありません。「知らないものを選んでみる」という小さな行動の積み重ねは、「自分の感覚や判断を信じてみる」練習でもあります。今回、味の想像がつかない食材を選び、それが自分の好みに合う一品になった経験を通して、「自分の感覚は、信じていいものなのだ」「新しい体験は楽しい」という気持ちが高まりました。

本当の自分には価値がないと感じているときほど、「間違えたくない」という気持ちが強くなります。けれど、その気持ちに気づいた上で小さな興味に従ってみることが、回復の一歩になります。

相手のちょっとした提案に乗ってみる。新しい体験を意識的に選んでみる。やってみたいと思ったアイデアを実現してみる。

こうした体験を繰り返すうちに、今までのパターンから抜け出すことが「いいこと」だと感じられるようになっていきます。日々の体験も少し意識していきたいですね。

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この記事を書いた人について

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「自分には価値がない」という思い込みを手放し、本来の自分を取り戻すサポートをしています。ヒーラー&リーダーの山田結子です。

インナーチャイルドの癒しに携わって約20年。ヒーリングとリーディングを組み合わせたセッションで、多くの方の「自分らしい生き方」への一歩をご一緒してきました。

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