「仕事ができないと価値がない」の裏にいるありのままの自分

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仕事で成果を出せていないと、なぜか自分が存在してはいけないような気持ちになってしまう。「役に立った」ことでしか、褒められることはない。そんな気がしてしまう。休んでいると、空虚な気持ちになったり、自分を責めてしまったり。そんな傾向はないでしょうか。

そんな感覚の奥には、幼い頃のあなたが潜んでいるかもしれません。大人になった自分の理性では「そんなことない」と思えても、心のどこかで、子どもの自分がずっと不安を訴え続けている。そんなイメージを持ってみてください。これは「インナーチャイルド」と呼ばれるものに近い存在です。過去の傷ついた体験や思い込みを、今も心の中に抱え続けている、幼い頃の自分自身のことです。

その子はいつ、その思い込みを持ったのか

小さな自分は、言葉をうまく話せなかった頃から、家庭の空気を体で感じとっています。家族が「仕事ができること」「成果を出すこと」にしか価値を見出していない空気があったとしましょう。父親が出張から帰ってくると、「もう帰ってきたのか」という空気が漂う。出かけていくときには、逆にホッとするような空気がある。家にいるより、外で働いているほうが歓迎される――そんな家庭を想像してみましょう。

そんな空気の中で育つと、子どもはこう学んでいきます。「ここでは、動き続けている人だけが、居場所を持っていられるのだ」と。誰かに「休むのは悪いことだ」とはっきり言われなくても、その場の空気から学びとってしまうことがあるのです。

家庭が仕事をすることだけを求めているように見えることもあります。そうなると「稼ぐこと」「成果を出すこと」だけが評価され、それぞれの個性や優しさ、弱さには価値が置かれません。家族の人柄や感情は、家庭の中で語られることも、大切に扱われることもなかったのかもしれません。

その光景を繰り返し目にしながら、子どもは「この家では、稼ぐ人・成果を出す人にしか価値が置かれないのだ」と学んでいきます。人柄や優しさ、弱さといった内面は、語られることも大切にされることもない。それが、この家庭の「価値のものさし」なのだと、子どもながらに感じ取っていくのです。

見てもらえなかった「心」、評価された「機能」

こうして家庭の価値観を学んだ子どもは、やがて自分自身も同じように扱われていることに気づいていきます。子どもの頃に世話は十分にしてもらっていた。ご飯を作ってもらい、体調を崩せば看病もしてもらえた。それでも、なぜか今、強い孤独感を感じている。そんな場合があります。世話は足りているのに孤独感が強い、という状態は、本人にも理解しにくく、うまく言葉にできないことが多いものです。

これはおそらく、養育者との関わりの中で、「今日はどんな気持ちだった?」「それは辛かったね」と、心の内側に関心を向けてもらう経験が少なかったことから来ています。自分自身に興味を持ってもらえていない、という感覚です。「世話はしてもらえても、関心は向けてもらえない」――そんな孤独感を、静かに抱えてきたのかもしれません。

これは、養育者自身もまた、自分に関心を向けてもらったり、気持ちを聞いてもらったりする経験に乏しかったことが背景にあるのかもしれません。他者の気持ちを知ろうとする関わり方を、そもそも学んでこなかった、あるいはその習慣自体を持っていなかった。そういうケースも少なくありません。それでも子どもは、「機能としての自分にしか価値がない」という感覚を、少しずつ形づくっていきます。「ちゃんとしていれば世話をしてもらえる。でも、私自身には興味を持ってもらえない」――そう結論づけてしまうと、それが積み重なり、大人になっても消えずに残ってしまうのです。

インナーチャイルドが今も送り続けているサイン

このようなインナーチャイルドは、今もあなたの中に息づいています。仕事の成果が出せないと落ち着かなくなるとき、休んでいると罪悪感がわいてくるとき。それは、子どもの自分が「自分の機能を働かせないと、見捨てられてしまう」と不安を感じているサインかもしれません。

風邪をひいても仕事を休めない、そもそも体調が悪いことに自分で気づきにくい、という場合もあるでしょう。しんどいと感じてしまうと動けなくなり、価値がなくなってしまう気がする。だから、感じないように蓋をして、疲れていても動き続けてしまう。

周りから見れば「我慢強い人」「タフな人」に映るかもしれませんが、本人の内側では、疲れを感じる回路が閉じてしまったかのように、疲れを感じられなくなるのです。それが長年続くと、限界のサインに気づけないまま、燃え尽きるまで走り続けてしまうこともあります。

家族との対話が「役割分担」の確認だけで終わってしまい、心の交流が少なくなっているとしたら、このインナーチャイルドが影響している可能性があります。「機能」として関わることはできても、「感情」でつながることには、まだ不安が残っている。頼ることや甘えることが苦手だったり、「迷惑な存在だと思われるのでは」と感じてしまったり。頑張れない自分を責めてしまうときも、それはインナーチャイルドが「頑張らなければ、見捨てられる」と必死になっている声なのかもしれません。

その子を安心させる、「ありのままでいい」という一言

インナーチャイルドが本当に求めているのは、「もっと成果を出せる自分になること」ではありません。「ありのままの自分を認めていい」と思えるようになることです。

成果や評価に関係なく、温かい気持ちを向けてもらうこと。無条件で好きだと言ってもらえること。いろいろな感情を持ってもいいと許されること。大変なときにそばで見守ってもらえること。

その子を安心させてあげるには、「今、何もしていなくても、ここにいていい」と、繰り返し自分に伝えてあげましょう。あなたに必要なのは、もっと何かができるようになることではありません。

最初は信じられなくても、この言葉を繰り返すうちに、インナーチャイルドの反応は少しずつ弱まっていきます。機能として存在するのではなく、自分という多面的な存在を認められるようになっていくのです。お茶を飲んでぼんやりする時間を過ごしたり、窓の外をぼんやり眺めたり。そんな時間があってもいい。その積み重ねが、インナーチャイルドの抱えている不安を和らげていきます。

仕事で何を成し遂げているかは関係なく、あなたはそこにいていいのです。それは、あなたの日常の頑張りを否定するものではありません。むしろ、インナーチャイルドの反応を減らすことで、心がふっと楽になっていく。自分を追い込むことが減り、できないことは「できない」と自然に言えるようになる。そんな安心感から仕事に打ち込めるようになれば、人生の豊かさを受け取れるようになっていきます。

少しずつ、子どもの自分を受け入れ、自分に対する優しさを取り戻していきましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

山田 結子

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この記事を書いた人について

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「自分には価値がない」という思い込みを手放し、本来の自分を取り戻すサポートをしています。ヒーラー&リーダーの山田結子です。

インナーチャイルドの癒しに携わって約20年。ヒーリングとリーディングを組み合わせたセッションで、多くの方の「自分らしい生き方」への一歩をご一緒してきました。

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