聞いてもらえなくても、その気持ちに価値はある

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⬜︎目次⬜︎

  1. 「聞いてもらえない」と「気持ちに価値がない」は別の話
  2. なぜ同じことのように感じてしまうのか
  3. 気持ちの価値を、相手の反応から切り離す

「これ、話しても興味を持ってもらえないかも」「聞いてくれる人がいないから、言うのをやめておこう」――そんなふうに、話す前から相手の反応を先取りして、自分の気持ちを引っ込めてしまうことはありませんか。家族に話しかけても「うん」で終わってしまう。親に自分の考えを伝えても、結局は親の意見に上書きされてしまう。仕事でも、会議で意見があっても「どうせ流されるだろう」と飲み込んでしまい、あとになって「本当はこう思っていたのに」と一人で反芻する。

そんな繰り返しに、心当たりがある方もいるかもしれません。もし思い当たるなら、それはあなたの話し方に課題があるわけではありません。「聞いてもらえたかどうか」と「その気持ちに価値があるかどうか」を、心のどこかで同じものとして扱ってしまっている――それが、この繰り返しの正体です。この二つを切り離して眺め直すだけで、日々の人間関係の重さは、思っている以上に軽くなっていきます。

「聞いてもらえない」と「気持ちに価値がない」は別の話

誰かが自分の話に興味を示してくれるかどうかは、その人の今の状況やタイミング、相性によって決まるものです。仕事で疲れていた、その話題に関心が薄かった、その日たまたま余裕がなかった――理由はさまざまで、あなたの気持ちそのものの価値とは、本来まったく別の話です。それなのに、聞いてもらえなかった瞬間、私たちの頭にはよくこんな考えがよぎります。「私の話がつまらないからだ」「もっと面白く話せる人なら、聞いてもらえたはずだ」。相手の反応がいまひとつだったという事実が、いつのまにか「話の内容そのものが価値のないものだった」という評価にすり替わっていくのです。

疲れて帰ってきた家族が上の空で相槌を打つのも、相手の余力の問題であることが多く、あなたの話がつまらないからとは言い切れません。それでも「つまらないと思われたのかもしれない」という解釈のほうが、なぜか説得力を持って心に残ってしまう。相手の反応は、その日その相手の状態を映す鏡であって、あなたの気持ちの価値を測る物差しにはなりません。もし相手の反応であなたの価値が決まるとしたら、あなたの価値は毎日、他人の気分次第で上がったり下がったりする、とても不安定なものになってしまうでしょう。

この混同に気づかないまま日々を過ごすと、「どうせつまらないと思われる」という前提が先に立ち、口を開く前から気持ちを飲み込む癖がついていきます。それが積み重なると、「聞いてもらえるかどうか」を確かめる前から、気持ちを持つこと自体を後回しにしてしまう段階まで進んでいくこともあります。

なぜ同じことのように感じてしまうのか

この混同を引き起こす要因となりやすいのが、幼い頃の経験からできたある思い込みです。話しかけても手を止めてもらえなかった。気持ちを伝えても「あなたはまだ子どもだから」と取り合ってもらえなかった。忙しい親や機嫌の変わりやすい親の顔色をうかがいながら、「今、話していいタイミングかどうか」を常に測っていた――そうした経験が積み重なると、「聞いてもらえる=自分の話には価値がある」「聞いてもらえない=自分の話はつまらない、自分には価値がない」という感覚が、無意識のうちに刷り込まれやすいのです。

子どもは、聞いてもらえない理由を「相手の都合」だとは考えない傾向があります。自分を中心に世界を理解する時期だからこそ、「聞いてもらえないのは、自分の話がつまらないからだ」と、原因を自分の内側に探してしまうのです。子どもにとっては、「親のせい」よりも「自分のせい」の方がわかりやすいのでしょう。ただ、大人になった今も同じ感覚のまま人と関わっていると、他人の都合や気分に振り回されてしまいます。

親から強く意見を差し込まれるたびに自分の考えを引っ込めてしまうのも、家族との会話が事務的な確認だけで終わってしまうのも、会議の場で意見を言えないのも、根っこをたどれば同じ感覚に行き着くことが少なくありません。こうした「聞いてもらえなかった記憶」と、そこから生まれた「自分はつまらない人間だ」という感覚を抱えたまま大人になった部分を、インナーチャイルドと呼ぶことがあります。あの頃、精一杯気持ちを込めて話しかけたのに反応してもらえなかった小さな自分が、今もどこかで「どうせ私の話はつまらない」とささやいているのかもしれません。ここで大切なのは、その子を責めることでも急いで変えようとすることでもなく、「あなたのその気持ちは、ちゃんと本物だった。つまらなかったわけじゃない」と、まず認めてあげること。この感覚に気づいたときこそ、「相手の反応」と「自分の気持ちの価値」を切り分ける作業が、本当の意味で始まります。

気持ちの価値を、相手の反応から切り離す

これまで無意識に「相手が興味を持ってくれたら、その話には価値がある」という基準で生きてきたとしたら、その基準を少しずつ、自分の内側に取り戻していきましょう。「聞いてくれる人がいるかどうか」ではなく、「私がそれを感じている」という事実そのものに、価値を置いてみてください。誰かに届くかどうかは、あとからついてくる、いわばおまけのようなものです。

基準を自分に取り戻すというのは、他人を頼らなくなるということではなく、「まず自分が自分の一番の理解者になる」ということ。そこに安心の土台ができると、相手の反応に一喜一憂する頻度そのものが、少しずつ減っていきます。たとえば親から意見を差し込まれたときも、「反論できなかった自分はダメだ」ではなく「私はこう感じていた、それだけで十分」と心の中で確認できるようになると、同じ出来事でも受け取り方が変わってきます。家族に話しかけて反応が薄かったときも、「やっぱり自分の話はつまらないんだ」ではなく「今日はタイミングが合わなかっただけ」と切り分けられるようになると、関係そのものも少しずつ変わっていくはずです。

今日試してほしいのは、誰かに聞いてもらう前に、自分の中で感じたことをそのまま言葉にしてみることです。「今日、少し寂しかった」「本当はこう思っている」――ノートに書き出すだけでも、声に出さずつぶやくだけでも構いません。大切なのは、相手に届くかどうかではなく、あなた自身がその気持ちを、まず自分の心で受け取ってあげることです。

これを続けていくと、「自分には価値がない」という長年の思い込みは、少しずつ輪郭を失っていきます。最初は小さな違和感かもしれません。それでも大丈夫です。聞いてくれる人がいたら、それはとても嬉しいこと。でも、いなかったからといって、あなたの気持ちが消えるわけでも、価値を失うわけでもありません。今日は、「この気持ちには価値がある」と、自分で自分にOKを出すところから、始めてみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

山田 結子

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この記事を書いた人について

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「自分には価値がない」という思い込みを手放し、本来の自分を取り戻すサポートをしています。ヒーラー&リーダーの山田結子です。

インナーチャイルドの癒しに携わって約20年。ヒーリングとリーディングを組み合わせたセッションで、多くの方の「自分らしい生き方」への一歩をご一緒してきました。

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