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「わかっているのに動けない」「やらなきゃいけないのに、なぜか手が止まる」。そんな経験はありませんか。
多くの場合、私たちはこの状態を「意志が弱いから」「怠けているから」と自分を責め、ダメ出しをしがちです。でも心理学には、まったく違う見方があります。
動けないことには、実は理由がある。しかもそれは、あなたを守るために働いている、とても合理的な仕組みかもしれません。
動けないことには、理由がある
一見マイナスに見える状態――動けない、決断できない、行動が続かない――は、実は無意識のレベルで何かしらの「守り」を生み出していることがあります。
たとえば、「動かなければ、少なくとも傷つかずに済む」「動かなければ、周囲との関係が波立たずに済む」というように。表面的には困っているように見えても、深いところでは、その状態によって何かが守られていることが少なくありません。

これは怠けているとは言えません。過去の経験から編み出された、あなたなりの自己防衛システムだと捉えると、少し理解しやすくなります。では具体的に、何が守られているのでしょうか。
動かないことで、何が守られているのか
「動かないことの意味」には、いくつかの典型的なパターンがあります。根っこにあるのは「傷つきたくない」というごく自然な気持ちですが、それが具体的にどう働くかは、人によって少しずつ違います。
1) 人間関係の安定の維持
親から強く介入される環境で育つと、「自分らしく動く」ことが、相手の不安や不機嫌を引き起こした経験を重ねていることがあります。たとえば、自分の意見を口にしたら不機嫌になられた、進路や選択に口を挟まれ、それに逆らうと関係がぎくしゃくした――そんな記憶があると、「動く=誰かとの関係が揺らぐこと」という図式が、心の奥に刻まれてしまいます。すると無意識は、動かないことによって、関係の平穏を守ろうとするのです。かつて実際に、動くことで痛い思いをした経験があるのかもしれません。
2) アイデンティティの保持
「私は決断できない人」「私はいつも誰かに合わせる人」というセルフイメージを、知らず知らずのうちに抱えていることがあります。不思議なことに、たとえそれが自分を苦しめるイメージであっても、人は慣れ親しんだ自己像を手放すことに抵抗を感じます。実際に動いて結果を出してしまうと、そのイメージが崩れ、「では本当の自分はどんな人間なのか」という、答えのない問いに向き合うことになるからです。停滞は、時にその問いを先延ばしにするための、無意識の選択でもあるのです。
3) 罪悪感からの解放
自分の領域が守られてこなかった人は、「自分が変わること」を、相手(たとえば親)を置き去りにする行為のように感じてしまうことがあります。親の期待や不安を、まるで自分の一部のように背負って育つと、「私だけ幸せになる」「私だけ前に進む」ことが、親を見捨てるような感覚につながってしまうのです。その”置き去りにする罪悪感”を避けるために、動かないままでいることを、無意識に選んでしまう。動かずにいることで、その罪悪感を感じずに済んでいる、という側面があります。

こうした「守り」に気づくのは、自分を責めるためではありません。「これまで自分を守ってくれていたシステムだったんだ」と、理解し直すためです。ここに気づけただけでも、自分へのダメ出しは少し軽くなるはずです。
とはいえ、気づいた後の一歩の踏み出し方には、実はよくある誤解があります。
動くことで、手放せていく
それは、「不安や怖れを完全に手放してから動こう」とすることです。
もし「すべての不安が消えるまで動かない」としたら、いつまで経っても一歩を踏み出せません。守っているものが多いほど、動けない自分を正当化する理由も増えてしまい、結果として足踏みが続いてしまいます。
実際には、順番が逆であることが多いのです。先に少し動いてみることで、不安や恐れは後から少しずつ小さくなっていきます。「思ったより傷つかなかった」「動いても関係は壊れなかった」という小さな経験が積み重なることで、無意識の「動く=危険」という判断が、少しずつ書き換えられていきます。
では、どんな一歩なら踏み出しやすいのでしょうか。
安全な範囲で、小さく動く
ここでのポイントは、「安全だと感じられる範囲で」動くことです。
いきなり大きく踏み出してしまうと、本当に傷ついたり、関係が壊れたりする体験をしてしまう可能性があります。そうなると「やっぱり動くと危険だ」という、もともとの守りがかえって強くなってしまいます。

そうではなく、
・少し勇気がいるけれど、耐えられる範囲
・うまくいかなくても致命的にはならない範囲
・「これくらいならやってみてもいいかも」と思える範囲
この範囲で、小さな一歩を選んでみることが大切です。
たとえば、休日に、いつもと違うルートで散歩やハイキングをしてみる。それだけでも、立派な「安全な小さな一歩」になります。人間関係の中で誰かに何かを主張するわけではないので心理的なハードルが低く、それでいて「知らない道を歩く」という小さな未知への挑戦にはなります。
「思ったより危険じゃなかった」「知らない景色にも意外と平気でいられた」という体験は、そのまま「新しいことをしても大丈夫」という感覚を、あなたの中に静かに積み重ねてくれます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
山田 結子
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この記事を書いた人について
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「自分には価値がない」という思い込みを手放し、本来の自分を取り戻すサポートをしています。ヒーラー&リーダーの山田結子です。
インナーチャイルドの癒しに携わって約20年。ヒーリングとリーディングを組み合わせたセッションで、多くの方の「自分らしい生き方」への一歩をご一緒してきました。
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