白黒思考が強いと、なぜ「昨日と今日で別人」に感じるのか

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⬜︎目次⬜︎

  1. 白黒思考とは、心に「白黒しかないメガネ」をかけている状態
  2. そのメガネは、いつ・どうやってできたのか
  3. 波があるのは、性格というより「思考のくせ」
  4. 白黒思考を緩める、言葉を変える練習

「昨日は普通に過ごせていたのに、今日はちょっとしたことで『私なんてダメだ』と感じてしまう」

そんな自分の「波」に、戸惑ったことはありませんか。仕事で少しミスをしただけなのに、これまで積み上げてきた自信が一気に崩れて、まるで別人になったかのように落ち込んでしまう。周りからは「気にしすぎ」と言われても、本人にとっては「全部ダメになった」ような感覚があるのです。

この背景には、白黒思考という考え方の癖が関わっていることが少なくありません。物事を「良いか悪いか」「できているか、できていないか」という二択でしか捉えられない状態のことです。仕事だけでなく、夫婦間での会話や、家族とのやりとりの中でも、この癖は静かに顔を出します。「今日は優しくしてもらえなかった」というだけで、「大切にされていない」という結論に一気に飛んでしまう。そんな経験がある方も、少なくないのではないでしょうか。

これは、あなたの性格が不安定だから起きているのではありません。「受け止め方のくせ」だと理解すると、少し見え方が変わってきます。

白黒思考とは、心に「白黒しかないメガネ」をかけている状態

白黒思考を理解するために、あなたが「白」と「黒」の二色しか映さないメガネをかけていると想像してください。

本来、出来事や人には、色々な色があります。頑張れる日もあれば、余裕のない日もある。親切にできる日もあれば、冷たくしてしまう日もある。それを全部まとめてカラーのまま「私」として見られるのが、心が安定している状態です。相手についても同じで、優しい面もあれば、そっけない面もある。それをひとりの人として、まるごと受け止められるのが本来の姿です。

けれど、このメガネをかけていると、本当は色々な色があるはずの出来事が、白か黒かのどちらかにしか見えません。何かひとつうまくいかないことが起きただけで、それまで見えていた「良い自分」の色が消え、視界が「悪い自分」という黒一色に塗りつぶされてしまうのです。

これが、「昨日までは大丈夫だったのに、今日はダメ」という落差を生み出しています。大切なのは、現実そのものが変わったのではなく、かけているメガネのフィルターが極端に働いているだけ、ということです。心理学では、こうした「良いか悪いかで捉える見方」は認知の歪みの一種として説明されることがあります。

そのメガネは、いつ・どうやってできたのか

こうした思考の癖がどこから来るのかについては諸説ありますが、子どもの頃の経験のなかで形づくられていきやすい、と考えられています。

たとえば、親が誰かのことを「この人は素晴らしい」「あの人は最低だ」というように、良い人か悪い人かをはっきり分けて話すのを日常的に聞いて育った子どもがいるとします。そうした環境を繰り返し経験するうちに、子どもは「人や物事は、良いか悪いかのどちらかに分類するものだ」という見方を学んでいくことがあります。誰かの一部分を見ただけで「あの人はこういう人」と決めてしまうこのフィルターを、そのまま自分自身にもかけるようになっていきます。

また、「良い子でいれば愛される、悪い子だと見捨てられる」というように、条件つきで受け止められる経験を重ねてきた場合も、同じようにフィルターが育ちやすくなります。「できている自分」だけが受け入れられる存在で、「できていない自分」は存在してはいけない――そんな感覚が、心の奥に根づいていくのです。

そしてこのフィルターは、他人だけでなく自分への評価にも使われる可能性があります。頑張れる日もあれば余裕のない日もある、という複雑さを持った自分を、そのまま受け止めることが難しくなっていく。少しでも「悪い」と感じる部分が出てくると、それだけで自分を「ダメな人間」だと結論づけてしまう――これが、大人になってからの「昨日まで大丈夫だったのに、今日はダメ」という感覚につながっていくことがあります。

こうした見方は、当時のあなたが身近な大人から自然に学び取った、環境への適応のひとつである場合が少なくありません。そのため、白黒思考というメガネを今かけていたとしても、それは「問題がある自分」なのではなく、「そういう見方を長いあいだ学んできた」ととらえていきましょう。誰もが、育つ環境の中で、何かしらのメガネをかけながら大人になっていきます。今かけているメガネの色が濃いか薄いかの違いがあるだけで、特別な問題を抱えているわけではないのです。

波があるのは、性格というより「思考のくせ」

「調子がいい時とダメな時で、まるで別人みたいに感じる」

「小さな失敗で、全部を否定された気持ちになる」

こうした感覚に心当たりがある方は、まず「私の性格に問題があるのではない」と受け止めることからはじめてみましょう。振れ幅の大きさに悩んできた方ほど、それだけ自分と向き合ってきた証拠でもあります。白黒思考というメガネのくせが、今のあなたをしんどくさせているだけなのです。

くせだと捉え直せると、少し肩の力が抜けませんか。性格を変えるのは簡単なことではありませんが、くせであれば、少しずつ調整していくことができます。

これまで「なんて不安定な自分なんだろう」と自分を責めてきた方ほど、実はとても真面目に、丁寧に物事と向き合ってきたのだと思います。振れ幅の大きさは、いい加減に生きてきた証ではなく、むしろ一つひとつの出来事を真剣に受け止めてきた証でもあるのです。次の章では、そのくせを少しずつ緩めていくための、具体的な練習方法をご紹介します。

白黒思考を緩める、言葉を変える練習

メガネはかけ替えることができます。少しずつレンズの色を調整していくために、おすすめの方法は、自分が使っている言葉に注意を向けてみることです。

「絶対」「いつも」「全部」「無理」――白黒思考が強くなっていると、私たちは無意識にこうした極端な言葉を使っているときがあります。「私はいつも失敗する」「全部台無しになった」というように、ひとつの出来事があたかも「自分のすべて」であるかのように語ってしまうのです。

こうした言葉に気づいたら、次のように言い換えてみましょう。

• 「私はいつも失敗する」→「今回はこの部分がうまくいかなかった」

• 「全部ダメだった」→「うまくできていないところも多いが、今回の挑戦としてはよかった」

• 「あの人は冷たい人だ」→「今日は余裕がなさそうだった」

「いつも」という言葉を「今回は」に変えると、そこには時間の幅が生まれます。部分と全体を分けて見る余白が生まれやすくなります。使う言葉が変わることで、レンズの色も少しずつ本来の多様さを取り戻しやすくなります。

最初は意識してもすぐに元の言葉が出てきてしまうかもしれません。それでも大丈夫です。「また、いつもって言ってるな」と気づけること自体が、白黒しかないメガネを一歩遠くから眺められている証拠なのです。焦らず、気づくたびに小さく言い換えていく。その積み重ねが、レンズの色をゆっくりと変えていきます。

そう考えると、昨日と今日で自分が変わってしまうように感じても、大丈夫だと思えてきます。実際に変わっているのは、あなたという存在そのものではなく、その日その日で強く影響している「メガネの色」なのです。メガネの奥には、いつも一貫した「あなた」が存在しています。調子のいい日の自分も、うまくいかない日の自分も、どちらも切り離された別人ではなく、同じひとりの人の異なる表情にすぎません。

使う言葉を少しずつ変えていくことは、そのメガネを調整し、本来の多様な色を取り戻していくプロセスです。それは同時に、「良い自分」だけでなく「うまくいかない日の自分」も含めて、本当のあなたを丸ごと好きになっていく道でもあります。焦らず、今日気づいたことから、ひとつずつ試してみましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

山田 結子

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この記事を書いた人について

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「自分には価値がない」という思い込みを手放し、本来の自分を取り戻すサポートをしています。ヒーラー&リーダーの山田結子です。

インナーチャイルドの癒しに携わって約20年。ヒーリングとリーディングを組み合わせたセッションで、多くの方の「自分らしい生き方」への一歩をご一緒してきました。

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